Feline Journey( ONE PIECE )
第1章 🐾
あの船を脱出してから、はいくつかの街を旅した。
小さな島から島へ、時には密航船に紛れて旅をした。
金貨の袋は少しずつ減っていったが、それ以上に新しい世界が広がった。
新しく知る土地では、父が話してくれたような、自分の知らない食べ物がたくさんあった。
蒸した大きな貝にスパイスをたっぷり振りかけたもの。
甘酸っぱい果実を皮ごと潰して作る冷たい飲み物。
市場の屋台で焼かれる、脂の乗った魚の串焼き。
一口食べるたび、父の土産話が頭に蘇る。
でも、現実は厳しい。
袋の中の金貨が底をつきかけていた。
宿代、食事代、船代。
すべてが、少しずつ削られていく。
ある夜、安宿のベッドに横になりながら、は天井を見つめた。
「……そろそろお金も尽きるなぁ。」
ふと、思い出す。
あの船を襲った男たち。
海賊狩り。
――私にも、できるかな。
胸の奥で、何かが疼いた。
悪魔の実の力。
猫の姿で、影のように動ける体。
あの船で味わった恐怖を、今度は自分が与える側に。
海賊なら、狩ってもいい。
それから、は人目につかない所で特訓を重ねた。
森の奥、岩場、誰も来ない廃墟。
昼は人間の姿で体を慣らし、夜は猫の姿で練習する。
小型の黒猫で木々を駆け抜け、壁を蹴って跳ぶ。
大型種に変化して、岩を砕く。
爪を伸ばし、牙を剥き、瞬時に殺傷する感覚を繰り返す。
最初は体が言うことを聞かず、転げ落ちたり、変化が途中で途切れたりした。
でも、何度も何度も。
汗と埃にまみれながら、は体を鍛え上げた。
「もう、弱くない」
鏡のない森の中で、自分の瞳が鋭くなっていることに気づいた。