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Feline Journey( ONE PIECE )

第1章  🐾





最後の客が満足げに帰っていった。
はゆっくりと鍵をかけ、店内の灯りを一つずつ落としていく。
ランタンの炎がゆらゆらと揺れ、彼女の影を長く床に伸ばす。
今日の四人組――麦わら帽子の青年とその仲間たちの笑い声が、まだ頭の中に響いていた。



ルフィ、3000万ベリーの海賊。


実際の彼はただの、肉に夢中で無邪気な少年に見えた。
仲間たちと馬鹿騒ぎをし、酒を飲み笑い合う。
危害を加える気配なんて、微塵もなかった。




カウンターに肘をつき、ため息を静かに漏らした。


「……3000万って強いのかなぁ。」




海賊を狩るようになった理由は、ただ一つ。
自分の命を救ってくれた恩人もそうしていたから。

それだけだ。




ふと、記憶がゆっくりと鮮やかに蘇る。




――小さな村。
当時、まだ少女だった。
家は海の見える丘の上にあった。
窓からいつも潮風が入り、遠くの波音が子守唄のように聞こえていた。




両親は仕事で忙しく、ほとんど家にいなかった。
特に父親は、様々な国を船で回る商人で、家を長期間空けることが多かった。 数ヶ月、いや時には半年以上も。


帰って来る日はいつも突然で、玄関の扉が開く音がするたび、心臓が跳ね上がった。


父親は帰ると笑顔でを抱き上げた。


「おう、大きくなったな!」


いつも同じ言葉。でも、その声が聞こえるだけで世界が明るくなった。


父親は、帰ってきた夜に土産話をしてくれた。
遠い国の市場の話、見たこともない果物や巨大な魚が泳ぐ海の話。
そして、その土地の名物料理の話。


「この島じゃ、魚を丸ごと葉っぱで包んで焼くんだ。開くと、中から甘い香りが……」


目を細めて語る父親の顔を、はいつも羨ましそうに見つめていた。


長期の船移動では持って帰れないものも多かった。
そういうものは、話でしか味わえない。


「いつか一緒に連れてってやるよ」


父親はそう言って、の頭を撫でた。
その言葉を信じて、彼女はいつも一人で家を守っていた。
鍋をかき回しながら、鼻歌を歌いながら。
父親の帰りを待ちながら。



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