Feline Journey( ONE PIECE )
第1章 🐾
翌日、夕暮れの酒屋はいつものように賑わい始めていた。
開店から数時間。カウンターの向こうでは忙しなく動き回り、笑顔を絶やさない。
動かす手は正確で、客の注文を聞きながらも、耳は常に周囲の音を拾っている。 鼻は、もっと敏感だ。
潮の匂い、酒の匂い、汗の匂い、そして――人それぞれの、微妙に違う“個性”の香り。
扉が勢いよく開き、陽気な声が店内に飛び込んできた。
「おおー!いい匂いだなー!肉あるかー!?」
先頭に立った麦わら帽子の青年。
帽子を深く被り、笑顔が無邪気で、まるで子供のように目を輝かせている。
続けて、くるくる眉毛の金髪の男、
その次に、橙色の髪を揺らす女性と、長い鼻の男。
四人組だ。
は一瞬手を止め
客の顔、そして匂いをさりげなく観察した。
……海の匂い。
でも、ほんの少しだけ胸をざわつく。
どこか遠い記憶のような――懐かしい匂い。
はすぐにそれを振り払い、いつもの笑顔に戻った。
「いらっしゃいませー!4名様ですね?こちらのテーブルどうぞ!」
明るい声で案内し、空いているテーブルへ誘導する。
笑顔は完璧。 瞳の奥は、ただ静かに彼らを見ているだけ。
麦わら帽子の青年は席にドカッと座り、メニューも見ずに叫んだ。
「肉の一番でかいやつくれ!あと酒も!」
「ちょっと!メニュー見なさいよ!」
橙色の髪の女性が慌てて青年の頭を叩く。
青年は「いてっ!」と頭を押さえながらも、笑顔は変わらない。
女性がに向かって申し訳なさそうに頭を下げる。
「すみません……。とりあえず、肉料理とビール四つ、お願いできますか?」
「はーい、了解ですー!」
はにこやかに頷き、厨房へ向かう。