第4章 『やくそく』
硝子さんに礼をし、医務室を出てすぐ。
私は津美紀ちゃんの様子を見に行く前に、高専の校門前で五条さんの帰りを待つことにした。
(術式を使いすぎると……私は、)
そこまで考えた瞬間、胸の奥がひやりと冷えて、思考を振り払うように左右に頭を振る。
今は——もっと別のことに、ちゃんと向き合わなきゃいけない。
「あれっ?じゃん」
「あ……」
1台の車が止まり、扉が開いたと思えば中から長い足が出てくる。
そして白い髪が見えた時、聞き馴染みのある、安心する声が鼓膜を揺らした。
───── 五条さんだ。
「僕のこと待っててくれたの?」
車を降りた五条さんは、私の姿を見つけるなり、軽く手を上げて笑った。
私はその姿に小さく会釈を返し、校門前の階段を降り、五条さんの側へ駆け寄った。
「…お説教、待ってました」
「あ、忘れてた」
ぱちん、と指を鳴らしてそう言うと、五条さんは私の髪をわしゃりとひと撫でする。
何から言えばいいのかと顔を見上げていると、ふと五条さんの片方の口角が上がった。
「でも僕の前に、お前に言いたいことがある奴が居るみたいよ?」
「え…?」
不思議に思って首を傾げた、その瞬間。
五条さんの大きな背中の向こうから、つん、とした黒い頭が現れた。