• テキストサイズ

【呪術廻戦】呪いの嫁入

第4章 『やくそく』


「…五条さん、来てたんですか」


振り返るとそこには恵が立っていた。

軽い擦り傷はあるものの、呼吸は安定している。


「おっ、こっちはピンピンしてるね〜」


軽く手を振って応えるが、恵の視線は僕を通り越し、地面から滞留する空気へと鋭く滑った。

一瞬、恵の眉間に深い皺が刻まれる。


「この残穢、のですよね」


その声は低く、確信に近い響きを帯びていた。
視線は無意識のうちに、が去っていった方向を追っている。


(やっぱ分かるよな〜コレ。…の術式の件、上に掘られるとそろそろ誤魔化し聞かないし、)


どうしたものか、と思考を巡らせた瞬間、ふと、ひとつの考えが浮かんだ。


「あ、いいこと思いついた」


わざとらしく手を叩いて恵を見ると、恵は怪訝そうに眉をひそめる。

まるで今から僕がめんどくさい事を言いそうだ、とでも思っている顔。心外だな。


「恵、ちょっと訓練して帰ろ。術式使ってい〜よ。ほれほれ」
「はあ……?」


半歩距離を詰めると、恵は反射的に一歩後ずさった。


「……正気ですか」
「僕はいつだって大真面目だよ」


警戒と呆れがない交ぜになった恵の声。

それを聞いた僕は肩をすくめて言い返した。


この場に残ったの呪力をかき消すより──その痕跡を、上から別の呪力で雑に塗り潰す。

その方が楽だし、楽しそうだ。


(さっすが僕。今日も冴えてる)


ため息をつく恵を横目に、口角が上がる。

嫌そうにしつつも「やらない」と言わないところが、また恵らしくて。


「さて、いつでもいいよ」
「…本気でいいんですね」
「もちろん」


そうじゃなきゃ意味がない。

不服そうに吐き捨てた恵は手で型を組む。

直後、影絵から溢れ出した呪力から式神が現れ、地面に沈殿していたの残穢を少しづつ、徹底的に飲み込んでいった。
/ 104ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp