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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第4章 『やくそく』


僕の内側で呪力が静かに蠢く。


——聞き分けが悪いなら、方法を変えればいい。


「確かに強くなってほしいとは言ったけど、自分が壊れたら本末転倒でしょ」


自分でも驚くくらい冷たい声音だった。
の肩が びくりと跳ねるのが、視界の端に映る。


「僕さ、が傷つくのを見るの、嫌なんだよねぇ」


少しだけ声を柔らかくして語りかける。
それが、の逃げ場を無くすと分かっていたからだ。


「次、お前が自分を呪ったら───僕も同じことしようかな」


追い打ちをかけるように告げると、の顔が勢いよく上がる。
その反応が可笑しくて、僕は冗談めかしたように口角を上げてみせた。


「……五条、さん?」
「ん〜?」


本気かどうか、測りかねてる顔。
ほんと、は分かりやすくて助かるなぁ。


「が平気なら、僕も平気でやれると思うし。試しにここで…」
「っ…!!」
「な〜に?」

僕がほんの少し呪力を集めただけで、それが冗談じゃないとは即座に理解したらしい。

慌てて立ち上がったは、今は両手で僕の手を強く握りしめている。
その手は冷えきって、微かに震えていた。


「……やめて、ください」


小さな声でそう言われて──ようやく当初の目的が達成された。


僕はね、お前のためなら幾らでも卑怯な大人になれるんだよ。

だからお前の優しさも、信頼も、全部ひっくるめて利用してやる。


「うん、わかった」


俯くにそう告げ、小さく息を吐いて視線を細める。

ああ、これでいい。

これではもう、自分の身体を軽々しく扱えない。
"自分を傷つける"という選択肢は、僕を巻き込むことになった。


「」


名を呼んで、の顔を片手で持ち上げ、いつもの調子で笑ってみせる。

顕になったの顔は、酷く傷ついた表情で僕を見上げていた。


「約束、だからね」
「……っ、」


逃げ道を塞ぐみたいに、それでいて優しく小指を絡めた。

の人生は、もうとっくに僕の視界の中だ。
壊れる未来も、堕ちる結末も——僕が絶対に許さない。

たとえこの手段が、"呪い"と呼ばれるものになったとしても。
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