第3章 交錯する想い
バスタオルに包まりながら、恵くんに促されてリビングへ向かった。
脱衣所を出た瞬間。
ひやりとした空気に肌を撫でられて思わず肩をすくめると、それに気づいた恵くんが目線だけをこちらに向けた。
「……寒いか」
「……ちょっとだけ」
リビングに入ると、恵くんは何も言わずにエアコンの設定を上げる。
その背中を見ていると、さっきまでの出来事が少しずつ遠のいていく気がした。
ほんの数分前まで呼吸をするのも苦しかったはずなのに。
恵くんと同じ部屋にいる、それだけで世界が静かに戻っていくのが不思議だった。
「……そこ、座れ」
ソファを指さされ、言われるまま腰を下ろす。
恵くんは脇に抱えていたドライヤーをコンセントに差し込み、私の背後に立った。