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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第1章 旅立ち


車の通れない道に差しかかったため途中で降り、伊地知に案内されるまま、その背中について行く。

ザッ、ザッ、と砂を踏む音だけが耳に届く。

嫌な予感が胸の奥に溜まっていって、この先へ進むことを、ほんの一瞬だけ躊躇いそうになった。


「ここが、……現場です」


森を抜けた、その先。

視界いっぱいに広がったのは、それなりの規模がありそうな村だった。

地番未登録って言ってなかったっけ?この規模を国が見つけないなんてこと、あるわけないでしょ。
そう思いながらも、僕は惨状に足を進める。


「こりゃ全滅かな」


びちゃ、びちゃ、と僕と伊地知の靴を濡らす液体には、赤が混じっていた。
少し前まで雨が降っていたせいか、色はわずかに薄まっているけれど、これは確実に血の色だ。

まだ死体ひとつ見当たらないのに、見渡す限り赤に染まっている。
村と森の境目まで流れ着いているこの血の量が、たった一人分なわけがない。

だから僕は、「全滅」を確信した。


「呪霊の気配はないけど、残穢は残ってんね。誰かが祓ったのかな。……伊地知、僕たちより先にここに着いた奴、居る?」
「い、いえ……私たちが一番現場から近いとのことでしたので、居ないのではないかと」
「だよね。一級術師だったら即死案件だよ、コレ」


“居たはず”の呪いは、特級の中でも特級レベル。
一級術師が祓える代物じゃないし、仮に祓えたとしても、五体満足で帰れるとは思えない。


(今は祓われた呪いはどーでもいいや。それより……この残穢、二種類混じってんな)


僕の目に映るのは、特級レベルの呪霊を祓ったであろう、あまりにも強力な残穢。

そこに、微かに混じって流れてくるもう一つの残穢は、僕の中に眠っていた青く、懐かしい記憶を呼び起こすには十分すぎた。


(……殺したのか、祓ったのか。……ま、前者だろうね)


ふぅ、と細い息を吐いて空を見上げる。
村の惨状とは対照的に、そこには澄み切った青空が広がっていた。

何やってんだよ、と口から零れそうになった言葉を飲み込み、
僕は村の中心部に聳え立つ鳥居へと足を運んだ。
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