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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第1章 旅立ち




「え〜?僕今 任務終わったばっかよ?流石に人使い荒すぎでしょ」


折角、今日の任務を全部午前に詰めて終わらせたのに。

まあ大した呪霊じゃなかったし、疲れたかと聞かれれば「全然」と即答できるレベルの奴らばっかだったけど、それでも腑に落ちない。

任務が終わって補助監督……ああ、伊地知の車に乗り込んだ瞬間。
アイツの口から出た言葉は、


「東京都西部、地番未登録の集村で特級相当の残穢を通りすがりの準二級術師が察知。
一級以上の術師は直ちに現場へ向かって下さいとの事です。向かいます」

だってさ。


僕のプライベートタイム、ゼロじゃん。
高専を卒業してからは ゆっくり寝ることもできてないし、ストレスだって溜まる。


「お〜い、おいおい伊地知〜。何とか言えよ、なぁ〜」
「は、はいっ、スミマセンスミマセン……!」


後部座席から運転席に身を乗り出して伊地知に迫ると、伊地知はひっと喉を鳴らして、僕に謝罪を連呼する。

普段から伊地知を脅したりやら何やらしているからか、酷く怯えているようで。
だけどそれでも、伊地知は現場へ向かう車を止めたりはしない。


(真面目かよ)


指示を出した上の連中を心の中でけっと侮蔑して、
僕は乗り出していた身体を引っ込め、後部座席にどさりと沈み込んだ。

シートに背を預けて、腕を頭の後ろで組み、窓の外をぼんやりと眺める。


最後の任務は西寄りだったはず。


都心から離れた東京の一部は、同じ東京とは思えないほどにド田舎で。
地方の子が見たら腰抜かしちゃうんじゃないかな、なんてどうでもいいことを考える。


「あ〜……ダル〜」


ぐで〜、と長い脚を助手席の下まで伸ばして、伊地知に聞こえるようにそう零す。

伊地知は案の定、ビクッと肩を揺らして、
「す、すみません…」と弱々しく呟いた。

やめてよ。
なんか僕が虐めてるみたいじゃん、と思いながら、それでも外を眺め続けていた。


「……」


ふと、外の空気を吸いたくなって窓の開閉スイッチに手をかける。

ウィーンと機械音が鳴って窓が開き、まだ少し涼しさの残る風が、頬を撫でるように流れ込んできた。


「………伊地知、急いで」


その風と一緒に流れ込んできた残穢はやけに強くて、理由もなく胸の奥をざわつかせるものだった。
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