第3章 交錯する想い
これが今のにとって精一杯の感謝の気持ちだとは分かる。
───でも、だからこそ、受け取れない。
俺は、コイツに感謝される様なことは何一つ成していない。
「おい、多すぎんだろ」
の腕を掴んで、その身体を引き止めて、ただ多すぎる感謝を返したかっただけだった。
────それなのに。
パチン、と乾いた音がした。
を掴もうと差し出した手は強く振り払われ、冷たい空気だけが残る。
「っ…、」
「………ごめん、なさい」
一瞬だけ、驚いたようにが振り返る。
唇を噛み、泣くのを必死に堪えた、傷ついた表情。
「本当に、ごめんなさい、」
そう呟いた次の瞬間、は何も言わずに駆け出した。
俺はその場に立ち尽くしたまま、濡れた肩に落ちた雨粒の痕跡が冷たくなるまで、動けなかった。