第3章 交錯する想い
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保健室。
そのカーテンの先に広がる光景に、思わず目を疑った。
女子生徒が、男子生徒に組み敷かれている。
普段なら、学校で何をやっているんだと冷めた目で傍観できただろう。
でも、今は違う。
床に押さえつけられ、手足を縛られているのは、
紛れもなくだった。
桃色の髪。
血の気を失った白い肌。
見間違えるはずがない。
「……ッなに、やってんだよ!!」
声を張り上げた自覚はなかった。
気づいた時には身体が勝手に動いていた。
だが後悔はなかった。
無抵抗なに触れ、唇すら奪おうとする卑しい手。
それを止めずにいられる理由なんて、どこにもない。
「伏黒……恵、」
床に臀をついた男は、何が可笑しいのか肩を揺らして笑っていた。
名前が割れていることも含めて、すべてが癪に障る。
「あぁ?誰だよ、テメェは」
「…………委員長、」
澄んだ鈴のような声が空間を震わせた。
いや——震えているのは、の方だ。
「私のクラスの、委員長だよ。……恵くん、カメラ、止めて」
声は確かに震えているのに、
言葉だけは不自然なほど冷静だった。
辺りを見回すと、脚立の上でこちらを向くレンズ。
その画面に映る"録画中"の文字に、腸が煮えくり返る。
「……オイ、これ撮ってどうするつもりだったんだよ」
床に転がる男へ意識的に圧を込める。
けれど男は、答えの代わりに薄く笑うだけだった。