第3章 交錯する想い
──恵くんの案は、驚くほどあっさりと通った。
呪術界は常に慢性的な人手不足だ。
私と恵くんが別々に動けるなら、その分だけ任務は捌ける。
理屈としては、誰も反対する理由がなかった。
「……いいのか」
恵くんが会議室を出ていったあと、夜蛾さんが低く問いかけてくる。
その声は咎めるでもなく、ただ確認するだけのもの。
「…」
良くない、なんて言えるはずがない。
ここまで来てしまった以上、私はただ、この選択を飲み込むしかなかった。
「一応、悟に報告は入れるつもりだが……恐らくアイツも拒否はしないだろう」
分かっている。
五条さんなら、きっと笑って言うだろう。
——二人とも成長したじゃん、と。
それは明白だ。
私も、恵くんも、以前よりずっと強くなった。
1人前の呪術師だと認められたことは、正直、誇らしい。
それでも。
(……私がずっと、守ってあげるのに)
一瞬過ぎった煩悩に吐き気がして、口元を手で覆った。