第21章 起首雷同
現場へついたものの、昨日と同様進展は見られず、日が沈み、空が暗くなりはじめた頃。
「小腹が減った」と釘崎が喚き出したため、俺たちは一度調査を切り上げて新田さんの車に乗り、近場のコンビニへ車を走らせてもらっていた。
「残穢も気配も、まるで感じられませんでした」
「っスか……。となるとハズレ。ふりだしっスかね」
購入したばかりのサンドイッチの包装を剥がしながら、周囲に一般人がいないのを確認して、新田さんへと現場での調査内容を共有する。
「でも、時間かけるのはマズくねぇ?」
勘が働いたのか、それとも虎杖なりに状況を真剣に考えたのか。
俺と同じ見解を示した虎杖が問いを投げかける。
それに不機嫌に「なんでよ」と突っ込んだ釘崎は、ストローで手元のフルーツジュースを不満げに吸い上げた。
「だって、有名な心霊スポットなんだろ?…呪われてる人は まだまだいるかも。
しかも今んところ致死率100パーセント。これ以上 人死には勘弁だろ」
「………確かにね」
虎杖の意見に納得したように相槌を打った釘崎は、どうしたものか、と眉間に皺を寄せて考え込み始めた。
それを見た新田さんは、"橋から飛び降りること"が術式の発動条件なのでは、と口にしたが、それは昨日 虎杖で試した。
結果、術式の発動どころか、呪力の澱みひとつ感じられなかったからこそ、こうして打つ手なしのまま時間が伸びているわけだ。
(………想定以上に、時間食っちまってんな)
重苦しい空気の中、ふとズボンのポケットからスマホを取り出す。
暗がりの中で光ったディスプレイには、とっくに18時を過ぎた時刻が映し出されていた。
そのまま親指を無意識に動かして、俺はメッセージアプリを開き、ナマエとのトーク画面を表示させる。
(……まだ、連絡なしか)
今朝、新田さんの車が高専を出た時、俺は眠り続けるナマエへ車内から一通のメッセージを送っていた。
"起きたら連絡してくれ"
と。ただそれだけの、我ながら淡白なメッセージ。
しかし、高専を出てから数時間が経過した今も、その短い言葉に対する返事は返ってきていなかった。