第18章 呪術甲子園
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時は経ち、時刻は昼の13時。
京都校姉妹交流会二日目の今日。
なぜか各々のサイズにぴったり合わせて作られた野球ユニフォームに身を包まれた私たちは、炎天下のグラウンドへと集められていた。
「このユニフォーム………用意してたの?五条さん」
「トーゼン!!GTG(グレート・ティーチャー・ゴジョー)は、いつだって用意周到で抜かりないのさ!」
試合開始前。
木陰で嬉しげに鼻歌を歌っていた五条さんへ歩み寄って問い詰めると、彼はこれでもかと胸を張って、サングラスの奥の鼻を高くしてみせた。
しかし、私の勘は別の事実を訴えている。
「また伊地知さんにやらせたんでしょ」
「……」
「ダメだよ、伊地知さん忙しいんだから」
沈黙は肯定。
それを裏付けるように五条さんは私から視線を逸らし、今度はわざとらしく口笛を吹き始めた。
「五条さん」
「ハイ」
「私、ベンチがいい」
葉の隙間から容赦なく照りつける陽光と、肌にまとわりつく残暑の蒸し暑さ。
それに加えて突如として変更された交流会の種目に、私の機嫌は徐々に右肩下がりで傾いている。
「え、なんで?野球嫌いだった?」
「…………好きじゃない」
「え!?ウソ!!!なんで!?青春と言えば野球!野球と言えば青春でしょ!!僕のこと甲子園に連れてってくれるって、約束したよね!?」
「してないよ…………」
私は、とにかく、球技という球技が壊滅的に苦手なのだ。
中学では、体育の成績は他の競技で元を取っていたから悪くなかった。
そのせいで、今の今まで五条さんにその致命的な事実がバレずに済んでいたのだけれど ────まさか、こんな最悪の形で露呈するなんて。
「術式使っちゃダメなんでしょ?………みんなの足、引っ張っちゃう」
「またまた、そんなこと言って〜!!人並みに出来るクセに!ホント、ナマエは謙虚だなぁ」
そう言って軽薄に茶化した五条さんは木陰からグラウンドへと一歩足を踏み出し、「肩慣らしにキャッチボールしよ」と、満面の笑みでポケットから硬球をチラつかせた。