第18章 呪術甲子園
僕が居ないもののようにじゃれ合う二人。
ホント生意気。恵なんて、僕よりずうううっと後にナマエと出会ったくせに。
そもそも僕がわざわざ幼少期に引き合わせる計らいをしてあげなきゃ、出会うのは高専に入ってからだったというのに。
恵は、そのデカすぎる恩を忘れたというのか。
「…………ナマエ」
「…?」
ツン、と毛布の上から、恵の腕に収まる小さな身体をつついてやる。
すると、中にいたナマエは毛布の裾から顔を半分だけ覗かせ、寝ぼけ眼で僕の顔を見つめた。
そして何度か瞬きをして、僕の姿をハッキリと認識した、その瞬間。
「ゴっ…!!ごじょ、さん…!!」
「ウン、おはよ」
「お、おはようございます…!!ごめんなさい!わたし、」
ナマエは毛布を飛び抜け、そのままベッドから降りて真っ赤な顔で僕の元へ寄ってくる。
"療養室で夜這い"なんていう、悪いコトをしている自覚があるということだ。
「いつからいたの?」
「さ、さっき…!!1時間くらい前、から……」
「ふぅ〜ん」
ナマエは盛大に視線を泳がせて言葉を紡いだけれど、長年連れ添ったこの僕には、それが嘘だと手に取るようにわかる。
「僕に嘘つくんだ?」
「え…っ、」
「ねえ、ナマエ。ここでナニしてたの?教えてよ」
「っ……そ、れは」
嘘はバレると分かっているくせに、往生際の悪いナマエは言葉を濁して言い訳を考えていた。
ああ、ナマエが悪い子になってく。
純粋で、真っ白で、"いいこ"のナマエを変えちゃったのは────どこの誰だろうなぁ。
「……もういいでしょ。アンタの方こそ、こんな朝早くに何しに来たんですか」
「うるさいなぁ。僕は今、ナマエとお話してんの!!邪魔すんなら出てってよ!!」
「いい加減その大声やめてください。こちとら寝起きなんですよ」
「はあ〜〜〜????怪我人は黙ってベッドでオネンネしててくださ〜〜〜い!!!」
「………はぁ」
深いため息を吐きながらベッドから立ち上がった恵は、ゆっくりと僕とナマエの元へと近づき、その華奢な身体を強く抱き寄せて僕から引き剥がす。
その一際生意気で、僕に対してご立派なマウントをとろうとするその仕草に、ついに僕の堪忍袋の緒がブチ切れた。