第15章 成就の証※
泊まりがけの任務や、任務が遅くなった時以外ではあるが、出来る限り欠かさず、ナマエの部屋の前で他愛もないことを語っていた。
それがアイツにとっての救いなのか、それとも追い詰める要因になっているのかは分からない。
けれど、いつかナマエがその扉を開けてくれることを信じて、独り言のような対話を続けていた。
「ねえ、三日後には交流会でしょ?あの子も出るの?」
「……その予定、って五条先生は言ってたけど」
「けど、なに?無理とか言わせないわよ」
そう言った釘崎の目には、いよいよ強行手段にでも打って出そうな不穏な色が滲んでいる。
「………お前、何するつもりだ」
「引きずり出すに決まってんでしょ。真希さんのためにも、負けられないんだから」
使えるものは全部使う、と吐き捨てて、釘崎はまた手元のスマホに視線を落とした。
ふと覗き見えた画面には、ナマエとのトーク画面に釘崎の一方的なメッセージがビッシリと並んでいた。
そして今まさに、その下へ追い打ちをかけようと、釘崎の指先が激しくキーボードを叩いている。
「……あんま乱暴なことするなよ」
「はぁ〜!?じゃあその前に!!アンタが何とかしなさいよ!!」
俺との間のシートにスマホをぶん投げた釘崎が、今にも噴火寸前の怒りをぶつけてくる。
俺だってそうしてやりたいが、ナマエの心に土足で踏み入る資格が、虎杖を救えなかった俺にあるとは思えなかった。
「わかった。…から、アイツに何かする前は一言くれ」
「はぁ………過保護ね。そんなだから、いつまで経っても生温いのよ」
「……それは、そのうち何とかする」
とりあえず、釘崎が余計な暴走を始める前に丸め込むことには成功した。
その証拠に、釘崎はスマホに打っていた文字を全て消してから電源を落とし、への字口のままシートに背を預けて目を瞑った。