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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第14章 『いいこ』の作り方


「やあっと出てきた。おはよう、ナマエ」


そう言って微笑むと、月明かりに照らされたナマエは眉を八の字に下げ、震える唇を噛み締めた。

僕が殺されるなんて、そんなヘマするわけないのに。

そんな当たり前のことすら頭に浮かばないのか、ナマエは瞳を潤ませて、縋るように僕の服の裾を掴む。


「ごめ、なさい……っ、嫌いに、ならないで…っ」


グイッと裾を引いてもビクともしない僕に、ナマエは絶望した表情で言葉を紡ぐ。


「五条さんに嫌われちゃったら……私、もう、どうすればいいか分かんないの…」


だろうね。

そうなるように、今日まで大切に、この手の中で育ててきたんだから。

ナマエが僕から離れるという選択肢を見つけないように────僕に嫌われることそのものを、何より嫌悪するように。


「わたし、どうすれば"いいこ"になれる……?どうすれば、また好きになってくれるの…っ」


これはナマエにとって、切れかけた愛を結び直すための確認作業だ。

そして僕にとっては、ナマエを手中に取り戻し、二度と誰かの手のひらの上で踊らせないための手段。


「ん〜……。だってナマエは、僕の知らないところで赤の他人に縛られようとするからねぇ」
「っ、もうしない……、しないから、」
「ハハッ、口約束で信用しろって?」


突き放すようにそう告げると、ナマエは直ぐに何かを悟ったように息を呑み、静かに瞬きを繰り返した。

今までなら、口約束でも十分に効果があると思っていた。

でも、今後この子が僕の知らない場所で誰かに縛られてしまうくらいなら────僕が誰よりも先に、その可能性のすべてを縛り上げる。


「今後、縛りを交わす時は僕に相談するって、"呪術師として"約束して」
「呪術師と、して……?」
「そ。ああ、他人とだけじゃないよ。お前が自分自身に課す縛りも全部、僕に教えて」


そう言って顔にかかった柔らかな髪を優しく払ってやると、ナマエは困惑した表情のまま、喉に溜まった唾ををこくりと飲み込んだ。
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