第14章 『いいこ』の作り方
「はい、捕まえた♡」
「やっ……、」
そう言って毛布ごとナマエを抱き締めれば、ナマエは嫌がるように身動ぎをして、さらに深く毛布の中へと隠れてしまう。
今までも、任務中に誰かが命を落とす場面には何度も立ち会ってきたはずだ。
ただ、そのどれもが一般人で、ナマエと関係の薄い人間。
つまり、深い関係にあった人間が目の前で死ぬのは初めて────いや、僕たちが出会った日のことを考えれば二度目か。
「ナマエ。僕じゃダメなら恵呼ぶけど、どうする?」
「っ、……二人とも、やだ」
「え〜……」
あからさまな拒絶の言葉が心臓につきささる。
とはいえ、ナマエを抱きしめるこの手を解いてやるつもりは微塵もない。
「な〜に考えてんの。僕に教えてよ」
「……や、」
「あ〜!イヤイヤ期?お前のは可愛いからいいよ、僕がずぅ〜っと面倒見てあげる」
「……っ、」
昔、まだ幼かったナマエを恵と引き合わせた時も、僕の腕の中で頑なに首を振っていたっけ。
懐かしいな。……やっぱりナマエは、ナマエのままだ。
「………私、三人が派遣された時、高専に居たの」
「え、」
毛布越しにナマエをむぎゅむぎゅと抱き潰していると、今にも消え入てしまいそうな声で言葉がこぼされた。
ただ、その事実は、僕が知っているものとは異なっている。
ナマエは一級任務に派遣されてたって聞いたんだけど、……一体どこで情報が曲げられたんだ。
「総監部の人たちに呼び出されて……っ、私を一級に昇級するって言われて、私がもっと早く切り上げて、教室に戻ってたら……!!」
「ちょっと待って」
ナマエの後悔よりも何よりも、その口から飛び出した"総監部"という単語に、思考のすべてが止まった。
アイツらは、僕が居ないのをいいことに悠仁を始末しようとしただけでなく、僕の娘にまで手を出していたというのか。