第13章 呪胎戴天
車を降りて、崩壊した建物の傍へ急いだ。
────そして、目の前に広がる光景に、呼吸が止まった。
「っ………い、いたどり……くん?」
現実は、いつだって残酷に私の心を抉ってくる。
目の前で冷たい雨に打たれながら横たわっている桜髪の彼は、辺りの水たまりに赤黒い血を滲ませていて、名前を呼んでも微塵も動かない。
「めぐみくん……っ、これ、虎杖くん、は…?」
「っ…………」
恵くんは何も言わなかったけど、その沈黙こそが私にとって最悪の答えだった。
(……反転術式なら、)
そう考えたところで、早くも後悔が募った。
あの時。総監部の人たちの願いを聞き入れて、大人しく文献を手に入れていれば。
そうすれば今、私が、虎杖くんの命を繋ぎ止められたかもしれないのに。
「ごめっ、……ごめんなさい、ごめんね、虎杖くん…っ」
「ナマエ…」
「私は、また───っ」
また、零れた。
自分の手のひらの隙間が大きかったことを、日に日に思い知らされる。
恵くんは「救った命を見ろ」と言ってくれたけれど、今回私は、ただ総監部の人たちとお喋りしていただけ。
そしてあまつさえ、自分のつまらないプライドのせいで、救えるはずの友人の手を離してしまった。