第13章 呪胎戴天
高専の事務室に飛び込んだ私は、呆然とする補助監督さんの一人を半ば強引に外へと連れ出した。
そして現場についた後。
特級のものであろう残穢が残る建物内へと足を踏み入れて、宣言通り、そこに潜むすべての呪霊を根こそぎ祓い切った。
「おっ、お疲れ様でした…!!」
緩めた赤い布を術式を使って腕に巻き付けながら、今にも崩れそうな建物を出る。
「……恵くんと虎杖くんは、中にいませんでした」
私に対して深く頭を下げる補助監督さんにそう報告をすると、彼は小さく息を呑んだ。
少年院の入り口で感じた、恵くんの比較的新しい残穢。
その行方を追いたい衝動を抑えて、二次被害を防ぐために中の捜索を優先したけれど、やはり建物内に二人の影は見当たらなかった。
「………どこ、行っちゃったの」
無力感に俯いたままそう呟いた私を見て、補助監督さんは意を決したように息を吸い込み、口を開いた。
「先程、ここから数キロ離れた場所で建物が倒壊する音が聞こえました。もしかしたら───」
「……連れてってください」
その先を聞くのが怖くなって、私は急かすように言葉を重ねた。
特級が外に出てしまったのか、……それとも、もっと取り返しのつかない"何か"が出たのか。
(………ううん、大丈夫)
虎杖くんの中に眠る宿儺の存在が脳裏を掠めて、頭を振った。
虎杖くんは宿儺に負けたりしない。
自分に言い聞かせるように強く拳を握りしめ、私は再び補助監督さんの車に乗り込んだ。