第13章 呪胎戴天
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ナマエが教室を出てすぐ。
俺たちは受胎と取り残された在院者五名の救助のため、"西東京市の英集少年院"へと派遣されていた。
受胎が変態を遂げるタイプの場合、特級相当。
本来なら五条さんが当たるべき任務だが、当の本人は出張中。
それに加えて人手不足という逃れがたい事情により、俺たちに任務が回された。
「……本当は、苧環さんにも同行していただきたかったのですが…」
「総監部との話し合いですよね。呼び戻せないんですか」
「…それが、急遽一級の任務にあたるとの共有がありまして」
変態するかもわからない特級よりも、目先の一級任務に回されたのだろう。
とはいえ俺は二級、釘崎も三級。
中に宿儺を飼っている虎杖は、まだ呪術に関して勉強中。呪具はあれど、心許ないメンバーだ。
「帳を下ろします。……お気を付けて」
伊地知さんの詠唱を聞きながら、俺たちは澱んだ空気が充満する建物内へと足を踏み入れた。
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異常が出るのは早かった。
扉を開き建物内を数歩進んだところで、景色が明らかに変わった。
「どうなってんだ!?二階建ての寮の中だよなココ」
「おおお落ち着け!!メゾネットよ!」
「……違ぇよ」
分かりやすく動揺して現実逃避を始める二人とは別に、俺は言葉を失った。
呪力による生得領域の展開。こんな大きなものは初めて見た。
「っ、扉は!?」
嫌な予感に突き動かされて来た道を振り返るが、そこにあったはずの扉は、跡形もなく消え失せている。
「ドアがなくなってる!!」
「なんで!?今ここから入ってきたわよね!?」
パニックの末に謎のダンスを踊り始めた二人を横目に、俺は隣に鎮座する玉犬の白い毛並みに手を置く。
「……いけるか?」
俺の問いかけに玉犬は力強く一度だけ頷き、俺はその頭を軽く撫でてから立ち上がる。
「大丈夫だ。コイツが出入口の匂いを覚えてる」
「「…!!」」
俺の言葉に安堵したのか、玉犬の頭をワシワシと撫でる二人に緊張感を持つよう言いかけ、俺たちは三人で先を進んだ。