第13章 呪胎戴天
「……………」
あれは何だ。ミラーリング効果とかいうやつを狙ってるのか。
いや、あいつの事だからきっと無自覚だ。
そう考えながら二人を凝視していると、隣にいた虎杖に「だから顔怖えって……」と引き気味にたしなめられた。
(…別に、怒ってるわけじゃねえし、)
だとすればなんなんだ、と自分に問いかけて、答えが出るのは早かった。
これは紛れもない"嫉妬"だ。
今まで漠然と抱えてきたそれとは違う、釘崎に対してナマエを取られてしまうという焦りを抱えている。
「……ナマエ」
「…?どうしたの、恵くん」
おもむろに椅子から立ち上がり、ペットボトルの蓋を閉めるナマエに近寄って声をかけた。
特段、何か用があったわけではない。
ただ、ここからナマエを連れ出したいという衝動に駆られて、身体が勝手に動いた。
「自販機、」
「一緒に行く?ちょっと待ってね、」
俺が言い終えるより早く、ナマエは俺の思考を先読みしたように柔らかく微笑んだ。
そして買ったばかりの飲料を机に置くと、弾むような足取りで俺の傍へと戻ってくる。
「行こ!あと十分でお昼休憩終わっちゃうよ」
そう言って当然のように腕を引かれ、嫉妬で冷え切っていた心臓が一瞬で熱を取り戻していくのが分かった。
「はいはい、昼間から随分とお熱いことで」
「釘崎、それやめなって。後で伏黒怒んだよ」
「アイツは基本怒ってるんだから、これくらい関係ないわよ」
背後から聞こえる野次ですら、今はそれほど気にならない。
しかしナマエはそうでもなかったのか、ニヤニヤと笑う釘崎に無邪気に舌を出してみせてから、さらに強く、俺の腕を引いた。