第13章 呪胎戴天
虎杖と釘崎が来てから早二週間。
ナマエの性格が目に見えて変わった。
元々明るい奴だったのが、今はどこか眩しくなったように思う。
「ナマエ、自販機行きましょ」
「んぇ〜……野薔薇ちゃんの奢り?」
「なわけないでしょ、馬鹿」
「いたっ、…冗談なのに」
軽く額を弾かれたナマエは、赤くなった箇所を擦りながらも嬉しそうに立ち上がる。
そして教室を出ていく釘崎の背中を、小走りで追いかけていった。
軽い冗談を言ったり、感情を素直に言葉にするようになったり。
ナマエの変化に喜ぶべきはずなのに、何故か俺の心は濁ったまま戻らない。
「苧環と釘崎、最近仲良いよな〜!」
「……」
「うわっ、伏黒 顔!!怖えって!」
二人が去った後、タイミングを見計らったように掛けられた言葉に心臓がモヤついた。
別に、あいつらが仲良くなることに関して否定的なわけじゃない。
……ただ、あの廃病院での共闘以降、ナマエの目線が釘崎へ向く機会が増えた気がして、それがどうしようもなく癪に触るだけだ。
「苧環に嫌われるよ…?」
「……あ゛?」
「スミマセン……冗談デス……」
冗談でも言っていいことと悪いことがあるだろ。
そう思いながら次の授業の準備をしていると、ナマエと釘崎が密着寸前の距離を保ったまま戻ってきた。
「野薔薇ちゃんっていつも水だよね?なんで?」
「美容のため。時代は"ノンカフェイン"よ」
「麦茶だってカフェイン入ってないよ?」
「はぁ……こういうのは気持ちが大事なの」
釘崎は「これだから素人は」と言わんばかりの表情で、ペットボトルの水を喉に流し込む。
するとナマエも真似をするように自分の麦茶を開け、同じタイミングで中の液体を飲み込んだ。