第12章 鉄骨娘と元神様
「私が生まれた村は、私以外に呪霊を祓える人がいなかった。だから皆が私を必要としてくれた。
……私が頑張れば頑張るほど、傷つけば傷つくほど、皆に感謝された」
私の過去の話に、釘崎さんは「げ」と声を漏らし、分かりやすく顔を顰めて見せた。
その様子がおかしくて、小さく笑ってから話を続ける。
「それが普通だったから、……ここに来て、自分より強い呪術師が沢山居ることを知って、焦ったのかな」
ゴールラインの白線を踏み、釘崎さんとゆっくり話せるのもあと一周の間だけ。
近くの木陰からは、虎杖くんの応援が絶え間なくグラウンドに響いている。
「人を守ること、助けることが生きがいで、それが私の役割だった。……だから、自分が守られる側の人間になるのが、気持ち悪い」
「だから過剰なサポートをするって?馬鹿じゃないの」
釘崎さんは私の身体を肘で小突き、ふん、と鼻を鳴らす。
「祓えるモン祓わないで何が呪術師よ。変な所で傲慢なクセに、戦場で弱気になられると困るんだけど」
「……だって、」
だって、私が目の前の呪霊に夢中になって、その隙に釘崎さんが傷つけられていたら。
私はきっと、自分を、許せなくなる。
「だってじゃない。少しは仲間を信頼して、背中預けてみせなさい」
「……仲間、」
仲間。…仲間って、なんだっけ。
一緒に任務に行って、怪我をしないように見守って。
……どうしよう。背中の預け方なんて、私には分からない。
「……釘崎さん、」
ふと、走る足を止めてその名前を呼ぶ。
すると数歩先を行っていた釘崎さんもまた足を止め、煩わしそうに、だけど真っ直ぐに私の方へと振り返った。
「背中は、……どうやって預けたらいいの?」
真っ直ぐ見つめられるのが怖くて、私の目線は自然と地面に落ち、震えた声音で何とか疑問を問いかけた。