第12章 鉄骨娘と元神様
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高専に戻り、ナマエに家入さんの治療を受けさせた後。
午後の訓練に向けてジャージに着替えた俺たちは、食堂で昼飯を共にしていた。
「ごめんね。恵くんも皆とご飯行きたかったよね」
「……別に」
ナマエが一人外されるくらいなら、どんな状況であれ行くつもりはなかった。
……こういう本心をひた隠しにして、余裕のある振りをしているから、出会ったばかりの釘崎にあっさりと先を越されるのだ。
そう分かっていても言葉にしてやれない自分の不器用さが、酷く疎ましい。
「怪我、もう痛まないか」
「うん…!硝子さんの反転術式、凄いよね。一瞬で治っちゃった」
「私も教えてもらおうかな」なんて無邪気に笑うナマエは、皿の上のオムライスを一口、幸せそうに頬張った。
その穏やかな顔を見ていると、ついさっきまで釘崎と喧嘩していたナマエは幻だったのではないかと錯覚しそうになる。
「……釘崎とは、上手くやれそうか」
「え?」
唐突な問いかけに、ナマエはスプーンを握る手を止めて、俺を真っ直ぐに見つめたまま固まった。
「んん……今はまだ、わかんない。……でも、釘崎さんは良い人だと思うから、仲良くなりたい」
「……そうか」
深く考えるように顔を顰めた後、ナマエはまた、穏やかに微笑んで言った。
その回答に、自分の心が深く沈んだ気がした。
(……俺は今、どんな回答を求めてたんだ)
上手くやれない、仲良くなれる気がしない。
そんな拒絶の言葉をナマエの口から聞いて、安心したかったんじゃないのか。
あの日、突き放すことしかできなかった自分を肯定するために。
……ナマエの外殻を壊せなかった自分の不甲斐なさを、正当化するために。