第12章 鉄骨娘と元神様
「ちょっと伏黒、代わりなさいよ。彼氏なんでしょ」
「…………ああ」
ずい、と釘崎からナマエを押し付けられ、半ば強引にその身体を腕の中へと迎える。
頭の怪我だけかと思ったが、足首に力が入っていない。捻挫でもしているのだろう。
どうりで、釘崎が担ぐようにして出てきたわけだ。
「あ〜!重かった!」
「なっ……、」
あからさまな煽り文句に、ナマエは一瞬で顔を青ざめさせ、おずおずと俺を見上げてきた。
「わ、私……重い?」
「軽い」
「……!」
縋るように下から覗き込まれ、息を吐くように即答する。
するとナマエは「ふふ、よかった」と小さく零して笑い、安心しきった様子で、俺の胸に血濡れの頭を預けた。
「げ〜〜……そういうの二人の時にしなさいよ。胸焼けする」
「そうか?俺は二人が仲良くしてるとこ見んの、結構好きだけどな」
言葉通りに表情を曇らせる釘崎と、いつも通り能天気な虎杖。
そして背後から突き刺さる、五条さんの面倒な視線を無視して、俺は腕の中の暖かな重みを抱く手に少しだけ力を込めた。