第2章 わるいこ
「めちゃくちゃ仲良しで、僕安心しちゃった……」
「…津美紀の部屋で2人して寝てたから、仕方なく持ってきただけ」
僕が両手を頬に当てて喜んでみせると、恵くんは心底ウザったそうに僕から目を背けて言った。
「なんだ、寝てたの?僕のこと呼べばよかったのに」
「五条さんを家には入れない」
「お堅いねぇ」
僕はの背中を僕に差し出した恵の頭をポンと撫でてから、眠ったの身体を恵の背中から持ち上げる。
…しかし、の腕は恵の首に回され、強い力で固定されている。
なんてこと。
僕の可愛いが、恵という何処ぞの馬の骨かも分からないような奴に取られてしまった…?
「恵ぃ、離してよ」
「いや、これは俺じゃない」
グイ、グイ、とを引っ張ってみるが、これが中々離れない。
を雑に扱うと後々 硝子にキレられるだろうし、僕の本意でもない。
「ほら、。夢の中でも我儘言ってんじゃないよ〜」
仲がいいのはいい事だけど、そろそろ本気でを連れ帰らなければ。
この子を保護するにあたっての手続きが色々と残ってんだよね。
はまだ小学生だから学校に行かなきゃらならない。そっち側の手続きは硝子に任せてきたけど、ちゃんとやってくれてるかな〜…なんか心配。
(ま、に関わる事だし大丈夫かな)
あのベタ惚れ具合は流石の僕もちょっと引いた。
マーキングってなによ。なんかセンシティブだわ。まだ9歳の子に何てことするの硝子。
「んじゃ、お邪魔しました〜!津美紀にも宜しく言っといてね」
「…早く帰れ」
を肩に担いでヒラヒラと手を振ると、恵くんにはギロリと睨まれてしまう。
(お〜…怖。この歳でその眼力。やっぱり将来有望だねぇ)
心の中で感心しながら、僕は「はいはい、またね。恵」と言って玄関扉に手をかけ、外に出る。
そして、玄関が施錠される音と共に伊地知の車へ向かって歩き始めた。