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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第9章 愛する覚悟


俺が後部座席に腰を下ろし、重厚なドアが音を立てて閉まった直後だった。


「恵さぁ、ナマエにプロポーズしたってマジ?」
「っ……、はあ??」
「あ、マジなんだ。了解」


五条さんの口から放たれたあまりに直球な言葉に、俺の心臓は柄にもなく大きく跳ねた。

……いや、確かにそれらしいことを告げた記憶はある。…が、正式な手順を踏んだつもりは毛頭ない。


(……つーか、アイツ。よりにもよって、なんで五条さんにそんなこと駄弁ってんだ)


相手が悪すぎるだろ、と心の中でナマエの不用心さを呪いつつも、
隣で案外あっさりと流した五条さんの態度が妙に鼻についた。

もっと慌てふためいて、泣いてナマエに縋るか、力ずくで駄々を捏ねると思っていたのに。


「ま、それを僕が認めるかどうかは置いといて──…」


五条さんは前を向いたまま、膝の上に置いていた数枚の資料を俺の方へ差し出した。

ただの数枚の紙束のはずなのに、受け取った瞬間、指先がわずかに止まった。

……理由はわからない。
ただ、妙に嫌な予感がして、眉間に深い皺が寄った。


「……これ、何ですか」
「見ればわかるよ」
「…」


運転席で息を潜める伊地知さんの異様な緊張感。

そして、校門前とは打って変わって、氷のように冷たく淡々とした五条さんの声。


胸騒ぎが、確信的な恐怖へと変わった瞬間だった。


俺は微かに震える指先で、慎重に資料の白表紙を捲る。


その瞬間、肺からすべての空気が奪われたように、息が止まった。
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