第2章 わるいこ
その後、津美紀ちゃんの家に入った私は彼女に連れられるがまま部屋へと招き入れられた。
そして暫くして机の上に並べられたのは、色とりどりの液体。…所謂、じゅーす、というやつだ。
私たちは2つのコップを並べてそこにお揃いのジュースを入れていく。
1杯を二人で飲みきった後感想を言い合って、笑って。
次のジュース!と少しづつ味が混ざっていくことも気にせずにコップにお揃いを注ぎ続けた。
「んんっ…!つ、津美紀ちゃん、コレ、口の中がジュワッてする……変な感じ…」
最後のジュース。透明の中にぽつぽつと泡が跳ねるそれを喉にグイッと通すと、口から喉がジュワッと解けるように痺れた。
私が目をぱちぱちとさせて津美紀ちゃんを見ると、津美紀ちゃんは笑いながら私の頭をよしよしと撫でてくれる。
「あはは!それは炭酸って言って、シュワシュワする飲み物なんだよ。苦手な人もいるから、無理に飲まなくてもいいよ…!」
「…津美紀ちゃんは、すき?」
「え?私?…ん〜、ふふ、好き!」
「……!」
少しだけ悩んだ表情を見せた後、津美紀ちゃんはパッと笑って頷いた。
そっか、津美紀ちゃんは好きなんだ。……それなら、私も。
「わたしも、すき……津美紀ちゃんが好きなら、私も好き」
私も、好きになれる。好きになりたいと思った。
「ええっ!?ほ、本当…?無理してない?」
「して、…ないよ?」
「わ〜っ!なんだか、恥ずかしくなっちゃった!」
「…!」
津美紀は少しだけ染まった頬を両手で覆い、顔を隠してしまう。
だけど指と指の隙間から見える津美紀ちゃんの表情は嬉しそうで、とても笑顔で。私は、思い出してしまった。
(……村のみんなも、本当は )
津美紀ちゃんに微笑みを返しながらも膝の上に乗った両手にぐっと力が篭もる。
私が守らなきゃいけなかったもの。
私にしか守れなかったもの。
でも、わたしは誰一人守れなかった。
だから今度こそ、この笑顔を──────
「ちゃん?」
「…あっ、な、なぁに?」
津美紀ちゃんは私の顔を不思議そうに覗き込み、私の瞳に我が戻ったのを確認するとふわりと微笑んだ。