• テキストサイズ

【呪術廻戦】呪いの嫁入

第8章 百鬼夜行の、その最中※


白と黒の温もりに包まれたまま、しばらく動けずにいた。


背中を預けたソファの感触も、部屋に満ちる静けさも。
全部が柔らかくて、頭の奥がぼんやりと霞みはじめる


このまま目を閉じたら、きっとすぐに眠れてしまう。


そんな微睡みの中で───ふと、時間の感覚だけがすっぽり抜け落ちていることに気づいた。


「いま、何時だろ……」


呟いた声はひどく掠れていた。

そんなに長い映画を見た記憶はないのに、体はもう限界に近い。
もしかして、もう日付を跨ぐ手前だったりするのだろうか。

そう思って、ローテーブルの上に置き去りにしていたスマホへ手を伸ばした───その瞬間。


「「キュウン……」」


揃って、小さく、
まるで引き留めるみたいな声音が、左右から同時に落ちてきた。

胸の奥をきゅっと締めつけるような、寂しげな声音。

反射的に指先が止まり、空を掴んだまま、スマホには触れられなかった。


「さみしいの?」


私がそう問いかけると、白と黒の毛並みが待ってましたと言わんばかりに、すり、と私の肩に押しつけられる。

そんなことをされたら、構わないでいられるはずもなくて。
気づけば、私の両手は自然と二匹の頭へと伸びていた。


(玉犬も、甘えたなんだなぁ……)


初めて出会ってからかなり時間が経つのに、こんな一面は知らなかった。


それもそのはず。


玉犬が私の前に現れるのは、いつも任務のときだけ。

張り詰めた空気の中で鋭い目をして、恵くんの傍に控えている姿しか見ていない。


訓練の合間に、冗談半分で「玉犬に会わせて!」と頼んだこともあった。

でもそのたびに、「ペットじゃないんだ」と、少し不機嫌そうに言われて終わりだった。
/ 243ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp