第7章 愛の形
パンダ先輩もそうだが、狗巻先輩とセットで弄られると収集がつかなくなる。
二人が揃う前に、なんとかナマエを引き剥がそうとした、その瞬間。
「いや〜〜〜、真昼間から抱き合っちゃって、お盛んだねぇ!」
場違いなほど軽快な声音が割り込んできて、俺の動きは止まり、眉間に一瞬で深い皺が刻まれた。
(一番めんどくせぇのが来やがった……)
視線だけを声がした方へ流すと、白髪が陽光を眩いほどに跳ね返し、グラウンドの砂利を軽やかに踏み鳴らしながら近づいてくる。
その余裕たっぷりの歩き方と隠す気のない愉快犯の気配に、舌打ちが漏れた。
「……いつから見てたんですか」
「君たちが痴話喧嘩して、ナマエが校舎に入っていったあたりからかな!」
やっぱこの人、全部見てんじゃねえか。
聞かなきゃよかった。
嫌な予感は、大体こういう形で的中する。
「ナマエ、任務頑張った僕にご褒美ちょーだい♡」
イラつく俺をそっちのけに、五条さんはそう言ってナマエを見据え、両腕を大きく広げた。
軽薄な笑顔の裏で、目元の包帯越しに俺の反応を楽しんでいるのが痛いほど伝わってくる。
「ご褒美?」
「うん。あっつ〜いハグとか♡」
「ハグでいいの…?」
一瞬、戸惑うように瞬きをしたナマエは、
それでも迷いを振り払うみたいに俺の胸から離れる。
そして次の瞬間には、広げられた五条さんの腕の中にためいなく飛び込んでいった。