第7章 愛の形
俺の胸元に顔を埋めたまま、ナマエはじっと俺を窺っていた。
少しでも身体を動かそうものなら、重なった場所から柔らかな体温が伝わって、なけなしの理性が悲鳴を上げそうになる。
「ほんと? 私のこと、嫌いになってない?」
「……なってねぇ、から。…いいから、どけ」
「…やだ」
拒絶の意味を込めたはずの言葉は、少しの間の後、拒絶で返された。
そしてあろうことか、ナマエは僅かに体重を預けるようにさらに距離を詰めてくる。
直接的に「離れろ」という意味合いで言ったはずなのに、結果として密着が深まっている現実に、脳がじわじわと疲弊していく。
「……マジで、離れてくれ」
「やだ。もうちょっとだけ、」
「…」
俺からの拒絶に反抗するみたいに顔を伏せるナマエは妙に珍しくて、一瞬、理性が緩んで絆されそうになった。
───しかし、だ。
(……このままだと、後で散々ネタにされる)
現に今、木陰付近から気を利かせているつもりらしいパンダ先輩の生温かい視線が突き刺さる。
こちらを見ている時点で、気を使われているようには思えない。
どうせ後で余計な事を寝掘り聞かれるだけだ。