第6章 堕神※
期待か、それとも緊張からか。
恵くんの手のひらが動くたびに、
自分の呼吸が少しずつ熱を帯びて、抑えきれずに荒れていくのが嫌でも分かった。
「……触っていいか」
「っ、」
指先が下着の縁に触れたところで、恵くんの手がピタリと止まる。
静まり返った空気の中に落とされる、あまりにも意地悪な質問。
私が拒めるはずがないと分かってて、それでもあえて私の口から答えを引き出そうとする恵くんは、確信犯だ。
「…ズルい」
「何がだよ」
「ぜんぶ、……わかってるくせに」
震える唇でわざと口を尖らせ恨めしげに目を細めて睨みつけると、
恵くんは何かを堪えるように一瞬だけ目を伏せ、肺の奥から熱い息を吐き出した。
「……言われなきゃ、わかんねぇな」
突き放すような言葉とは裏腹に、その声はひどく掠れて色気を含んでいる。
恵くんは逃げ出そうとする私を煽るように、指先で下着の硬いワイヤーをちょんと弾いた。
向けられる真っ直ぐな視線と、触れそうで触れない体温。
私の本音を引き出そうとする恵くんの視線と距離に、長い間暗がりに押し込めてきた覚悟が、静かに顔を出し始めた。