第6章 堕神※
身体中に灯る熱とは裏腹に、頭のどこかは冷酷なほど冴えていた。
だが、その口から零れる湿った息や震える声。
耐えるみたいに歪む表情を前にすると、冷めかけていた思考はあっさりと熱を取り戻してしまう。
(………やっぱ、嫌そうには見えねぇな)
今、俺に向けられているのは拒絶じゃない。
触れられることを、どこかで待っているような──期待に近い眼差し。
もちろん、俺の勝手な願望が混じっていなければ、の話だが。
……確認のために、一瞬だけ。
「──あっ!!んっ…」
「っ…、はっ、」
十分に湿った突起を吸い上げてやると、ナマエは耐えきれないように腰を逸らし、息を詰めたまま身悶えた。
その度に無意識に揺れる腰が何度も俺の下半身に擦れて、理性がじわりと軋む。
「っ!?───め、ぐみく、〜〜っ!!」
仕返しのように突起を吸い続け、時折軽く歯を立ててやると、ナマエは必死に左右に頭を振り、またビクンと腰を揺らした。
「…………っ、」
ナマエが腰を揺らす度に、下半身に鈍い快感が積み重なっていく。
さすがにこのままでは、先に俺の理性が焼き切れる。
そう判断して胸への愛撫を中断し、逃げるようにナマエの唇を塞ごうと、その頬へ手を伸ばした──その瞬間。
「……も、もう、平気…だから。その……無理、しないで」
「……………は?」
腹の底から、低い声が落ちた。
ナマエは真っ赤な顔で俯き、服をはだけさせたまま浅い呼吸を繰り返している。
いや、そもそも、その言葉が出る時点で、あの男の影が完全に消えていないことは嫌でもわかる。
「……私、恵くんの優しいところ、これ以上利用したくない」
──利用?
お前から他の男の記憶を消そうと、触れて、縋って、必死になってる俺のどこに、そんな冷静で立派な優しさが残ってると思ってるんだ。
「…………お前は、俺を聖人か何かだと思ってんのか」
「え…?」
悪いが、この状況を利用してるのは──間違いなく俺の方だ。