第6章 堕神※
俺も、ナマエも。
まだ、あの日に取り残されたままだ。
時間だけが先に進んで、肝心なところは何一つ動いていない。
本当に忘れさせてやれるのか。
そもそも、忘れさせる資格が俺にあるのか。
そんな考えが、熱を持った身体とは裏腹に、頭の奥で冷たく沈んでいく。
「……ぁ、やっ、それ、」
気を紛らわすように放置していたもう片方の突起へ舌を這わせると、ナマエは反射的に俺の髪をくしゃりと掴んで制止した。
指先には力が籠っていたが、逃げるでも、押し返すでもない。
ただ、本気で嫌がっていたら──そう思って顔を上げると、ナマエは潤んだ瞳で俺を見下ろし、顔を真っ赤にして小さく震えていた。
「おねがい……、」
拒絶ではない気がした。
無知から来る恐怖と、期待と、襲い来る快感をどう処理したらいいか分からないという感情が、一緒くたになった表情だろうか。
「…あたま、へんになる、からっ、」
「………、」
そういえば、昨日もコイツは胸への愛撫だけで軽く限界を迎えていた。
元々の身体の敏感さ。
それに加えて、欲を持つこと自体を否定されるような環境で育った過去。
触れられることにも、感じることにも、未だ慣れきれないままの身体。
その全部が、この歳にもなったナマエをこんなにも無知で、無防備なままここに座らせていた。