第6章 堕神※
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ソファの上。
恵くんに引かれるままその身体の上に跨り、今は隙間なくぴったりと私たちの身体が重なっている。
「んっ…ぅ、」
「…、っ、」
熱を帯びた唇を何度も重ね、僅かに開いた隙間から当たり前のように舌が差し込まれる。
恵くんに触れられて、あれほど渇望していた体温を得られたはずなのに、なぜか涙は止まらない。
それどころか、胸を締め付ける苦しさも、やり場のない辛さも、さっきよりずっと質を増して私を蝕んでいく。
「はっ……、……ナマエ」
「っ、」
そっと身体を離された瞬間、私たちを繋ぐ銀の糸が、カーテンの隙間から差し込む昼の光に照らされて───切れた。
残酷な現実を突きつけるようなその光の中、恵くんは切なげに私の名を呼び、大きな手で私の髪を優しく撫でるように梳いた。
「………泣くな、」
そう言った恵くん自身も、今にも壊れてしまいそうな、傷ついた表情で私を見つめている。
(………すき、だいすき)
心の中で何度も呟きながら、恵くんの唇を受け入れた。
伝えてしまえば楽なのに。
それを口にした途端、
この優しい救済が終わってしまうような、二度とこんな風に触れてもらえなくなるような気がして。
私は喉まで出かかった告白を、涙と一緒に飲み込んだ。
「んっ…、ぅ」
「…、……はっ、」
私の後頭部に手を回し、頭を固定した恵くんは、逃げ場がなくなった私の唇を食むように啄む。
そんな溢れ出る恵くんの慈悲に───私は、地獄のような天国へと突き落とされていった。