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【呪術廻戦】呪いの嫁入

第5章 オーバーライト※


「……なんですか」
「いや?」

目の前に広がるニヤケ面が鬱陶しくて声をかけると、五条さんはその口角をさらに釣り上げて俺を見つめた。


「ナマエの術式の副作用、教えたよね?」
「……自分自身を呪って強化する、ってやつですか」
「そ。ちゃんと覚えてんね」


術式の副作用を貯める大きな器──のようなものが、ナマエにはあると聞いた。


物を呪い操作する分には、その器に注がれる副作用の量はほんの数滴。

しかし術式が自分自身に向けられた途端、その量が大きく跳ね上がる。……らしい。


「人を呪わば何とやら。ナマエの場合は自分と物だけどね」


術式自体が"呪うこと"に特化している。

それを自分に向ける行為は、自分自身を強く呪うことと同義──という理屈くらい、俺にも察しがつく。


自分の身体に術式をかけるのも、物にかけるのも、使う以上は等しく自分を呪う行為。

生まれながらに備わった術式までもがナマエの性格をそのまま写し取ったみたいで、胸の奥がむかついた。


「で、ナマエの中には、その"呪い"が消えることなく溜まってたんだけど────」


含みを持たせて言葉を切り、五条さんはほんの少しだけサングラスをずらす。

そして覗いた青い瞳が、逃がさないと言わんばかりに俺を捉えた。


「さっき見たら、ほんのちょーーっとだけ、減ってたんだよね」


静まり返った玄関に、奥のキッチンから聞こえる茶器の音だけがやけに大きく響いた。
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