第4章 『やくそく』
「ねえ、」
ふと声を落とすと空き教室の空気がわずかに重く沈み、さっきまでの軽口が嘘みたいに遠のく。
「身体に術式をかけるの、やめなよ」
「え……?」
さっき茶化して誤魔化したけど、の身体が纏う呪力は明らかに濃くなっている。
元々、呪力の総量は人より多い。
でも今日は───使い方とその稼働時間が決定的にまずかった。
は間違いなく、呪物の器だ。
このまま身体に術式を使い続ければ、行き着く先はひとつ。
の身体は、いずれ"宿儺"と同じ結末を辿る。
「……私は、強くなるって、」
重い空気の中、絞り出すみたいな声でが呟いた。
「…」
を拾い上げたあの日。
僕の腕の中で泣きながらそう誓ったの姿が脳裏をよぎり、懐かしさと同時に胸の奥に鈍い苛立ちが溜まっていく。
——今、思い出させるなよ。
そういえば、狡いのはも昔から同じだった。
かすかに沸き立った懐かしさに蓋をするように、包帯の奥でを捉える視線がゆっくりと冷えていった。