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アブシールの英雄

第3章 第三話


「あっはっは!やっぱお前おもしれぇわ!」

ハリスの笑い声は、牢獄にひと際大きく響き渡ったのであった。



その後、ハリスの予想通り、噂はあっという間に北方収容所に駆け巡った。

しかし、そのおかげで思いもよらぬ人の興味を引いた。







「へえ、上の階ってこんな風になってんだな。普通に武器庫じゃん」

ソルトは、きれいに並べられた武器や鎧を間近で見つめながら、言った。

(『収容所』とは言ったものの、重要な要塞になっているというわけか…)

ユリウスは、部屋の様子を見ながらそんなことを考えた。

「うはぁ!初めて見たぜ!こんな風になってるんだな!」

「ハリス、超うれしそう!!」

興奮しているハリスを見て、ソルトは大笑いする。

「お、お、お前ら!!ここはなぁ!北方収容所最強の男しか入れない部屋なんだぜ!つまりは…」

まったく何もわかっていない二人に業を煮やしたハリスが、声を張り上げると、

「ここを管理するのは、このグリフィス・アウグストだけに許された権利。

つまりここは、私の部屋だ」

ハリスの後ろから、ハリスより長身の白髪の老紳士が現れた。

「「「!!」」」

一気にピーンと空気が張り詰める。


三人は一瞬動きを止めた。


「アウグスト将ぐ…」


ユリウスが呼ぼうとした瞬間、


「グリフォンさん!!招待状ありがとうございました!アンタ超いい人だな!
ハリスにまでくれるなんて、ほんとアンタ、スターの鑑だよ!!」

とソルトが老紳士…つまりアウグストの手を握って言った。

「うはぁ!馬鹿、ソル!お前なんて失礼なことを!

すみません、コイツ、アホなんです!」


ハリスがソルトをアウグストから引き離して、必死に謝る。


(もうなんか言い訳も面倒だな…なるようになれ)


頼みの綱のユリウスもそんなことを考えて遠い目をしていた。



「ふっふっふ…肝の据わった小僧だな、気に入った」

そんなおのおの三人の様子に気づいてか気づかずか、アウグストは可笑しそうに笑った。


「ほんとに?やったぜ!」

当のソルトは嬉しそうにガッツポーズ。

その横でオロオロするハリス。

「肝が据わっているなんて買い被りです。何もわかっていないだけですので」

ユリウスは、はしゃぐソルトに冷たい目を向けながら、アウグストに言う。

「…

お前が『嫡男』か」
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