• テキストサイズ

アブシールの英雄

第9章 第九話


37駅にて。


42駅よりさらに小さい駅にやってきた。
人もまばらだ。

そんな駅で、ジザベルは何かを発見した。


「おい…シリカ」


一点を見つめたままクラシリカを呼ぶ。

ちょうど、クラシリカはユリウスと地図を見ていた。


「シリカ!シリカ!

…クラシリカ!」


ジザベルは必死にクラシリカを呼ぶ。


「聞こえてますよ!連呼しないでください、見苦しい」

クラシリカは心底嫌そうに、ジザベルの方へ行く。

「だって、アイツ!アイツー!」

ジザベルは見つめている先を必死に呼び指す。

クラシリカも勢いに押されつつ、そちらを見た。

「! あれは…!

ムラサメ…!」


ジザベルの指さす先、そこには前合わせの変わった服を着た長身の若い男。

黒髪黒い眼、東方系の顔立ちだ。


「なんだあのキテレツな恰好!!!」


見慣れない衣服に、ソルトは思わず叫ぶ。


(いや、お前の隣に、この砂漠でもっともキテレツな奴がいるだろ…)


と、ジザベルとクラシリカは心の中で突っ込んだ。


「二人の知り合いか?」

ユリウスは、ムラサメなる男を観察しながら、後ろに立っている二人に聞く。


「有名人?」

とソルトも振り向いて聞く。


「ええ…彼は通称『ムラサメ』。極東神秘の国の剣士。そして、東方収容所のトップです」


クラシリカもまた、ムラサメを見つめながら答えた。


「えっ。じゃあ、将軍!?

グリフィスと同じ立場ってことだよな!?なんでそんな奴がここに!?」


ソルトは驚いて声が裏返る。

「…それは分かりません。なので、動揺してたのです」

「そうか!!」

クラシリカの答えに、ソルトは大きな声で返事を返した。


(あ、嫌な予感…)

そんなソルトを見て、ユリウスは何かを感じた。

「じゃあ俺、

ちょっと聞いてくる!!」


とソルトは言い残し、ムラサメに向かって一直線に歩いて行った。


ぽかーん


三人は思いもよらぬ言葉に、一瞬反応が遅れた。


「って!! ちょっとお待ちなさい!! ソルト!!」

クラシリカが呼ぶも、もうソルトの背中は遠くに。

「マジかよ!!アッハー!俺知らね!!」

と、ジザベルは他人の振りをする。

(もうなるようになれ)

ユリウスもまた、諦めモード。
/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp