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アブシールの英雄

第8章 第八話


掃除が終わると、ユリウスはシンフォニアを部屋まで送った。

するとシンフォニアは、


「あの…ユリウス様?

今日は大変助かりました。もしもまたお掃除が必要な時…

お仕事が忙しくない時に手伝っていただいても、よろしいですか?」

と言った。

「仕事がない時なら…いつでも手伝う」

そう言って、部屋に戻ろうとするユリウスに、シンフォニアはもう一度呼びかけた。


「あの、お掃除じゃなくても…

ユリウス様がお暇な時は声をかけてください。

…私、待ってますから」

ユリウスは、シンフォニアの優しい瞳を見つめながら、

「シンフォニア、ありがとう。

でも、貴女にはなるべく将軍のそばにいて欲しい。

貴女の幸せと、将軍に穏やかな時間を過ごしてもらうことが一番の願いだから…」

と言った。すると、シンフォニアは手を合わせて、


「…では、私も願います。

貴方がどうか、穏やかな時間を少しでも長く過ごせることを」

と、祈るように言う。

その様子を、ユリウスは心が震えるような想いで見ていた。

「…私は…

私は貴女をお守りします、シンフォニア。…この命をかけて」

そう言って、ユリウスはその場に跪き、シンフォニアの手の甲に自分の額を押し当てた。
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