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アブシールの英雄

第7章 第七話


「何を言ってるんだい、クラシリカ。言っといたほうがいいよ!戦場で大剣を渡されても、俺は引き抜くことも出来ないんだからね!アハハハハハ」

後ろから来た青年、クラシリカに言いながら大笑いするジザベル。

(だから胸張って言うな)

とユリウスは再び心の中で突っ込んでいた。


「将軍、彼らは貴方の部下ですか?

見たところ武官ではなさそうですが…」


ユリウスは二人をジロジロ見ながら言う。


「そうだ。

ジザベルとクラシリカだ。

刃は持たぬが、知恵を借りている。私がここで生きるための命綱と言ってもいい」


と、グリフィスは二人を紹介してくれた。


「命綱など…大げさです、グリフィス様」

とクラシリカは恐縮する。

「よろしくね、ユリウス副将」

ジザベルは、ユリウスに握手を求めてきた。

ユリウスは手を出しながら、

「その呼ばれ方、慣れないな…

ユリウスで構わない」

と言った。

「そう?じゃあ、ユリウスって呼ぶよ。俺のこともジザベルでいいよ」

がっちり握手をしたところ、なかなか離してくれない。

「……」

ユリウスは無言で話してくれるのを待っていると、

「こう言うのもなんだけどさ…ユリウスとソルトが来てくれて、正直すごくうれしいよ。

俺たちじゃ闘技会で殿のお役に立てないからさ。…情報収集くらいしか…」

ジザベルはそう言ってやっと手を離してくれた。


「…幸か不幸か分からないが…

有能な北方の将軍たちは捕虜になってないということか…」

と、ユリウスは言う。


「…まあ、そうだね。ただ、俺としては、殿の苦労が一番の悩みだから…優秀な武将が欲しいね」


ジザベルはそう言って腕を組んで悩ましい顔をしていた。


その様子を見て、ユリウスとソルトは顔を見合わせて、複雑な表情をしていた。


(副将としては…ジザベルのような心持ちにならなければならないのかもな…)

とユリウスは訓練中もずっと考えていた。
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