第7章 第七話
「俺の願いはただ一つ、
『ニンギルスの死』だ」
ユリウスは、ラガシュに向かってそう言った。
ユリウスが北方収容所の訓練場で副将に任命されたその日から、兵士たちの訓練が行われた。
グリフィスに見てもらえるからか、皆表情が一様に輝いて見える。
ユリウスも、ソルトと剣の稽古をしていると、見慣れない二人組が現れた。
「とのー!戻りましたよ!」
真っ赤な外套を着た派手な青年がこちらに手を振っている。
「え?だ、誰!?」
ソルトもギョッとしている。
「お、いい感じ。やっぱりメディシス兵が多いねー!」
こちらに向かって歩きながら、兵士の様子も見ている。
金髪に青い眼。いかにもメディシス国の生まれと言った見た目だ。髪は少し長めで、時々かき上げたりしている。
「あ、しかもそこの黒い鎧の子!もしかして、オーギュスタンくん!?遠くからでも目立つねー!」
貴方に言われたくない、と言いたい。
ユリウスは心の中で突っ込んだ。
「戻ったか、ジザベル」
いつの間にか、ユリウスの隣に来ていたグリフィスが言う。
「殿!大変長らくお待たせいたしましたー!!」
よく通る声だ。非常に元気な人だ。
「て、テンション高ェ!」
ソルトが圧倒されている。
「…お前が言うな」
隣でユリウスがソルトに突っ込んだ。
しかも、まだ何か言いたそうだ。
「なんか、でも…
メッチャ弱そう!!」
サクッ
ソルトの問題発言を打ち消すように、ユリウスは後ろからちょっと剣を刺した。
「いってぇ!!なんで刺すんだよ、ユリウス!」
「俺の耳には『頼むから刺してくれ』と聞こえた」
ソルトが背中を押さえて、文句を言ってきたが、ユリウスは眼を合わさない。
「アハハ!気にしないでよ!
俺は子羊一匹持ち上げられない程非力だからね!」
近くまでやってきたジザベルは笑いながらそう言った。
「よ、予想をはるかに超えてきた!!」
とソルトも驚き。
(それ、胸張って言うな)
と、ユリウスも心の中で突っ込みを入れ。
「ジザベル様…またそのようなことを…
このような場で言っては、貴方の信用ガタ落ちですよ」
さらに、ジザベルの後ろから、黒髪の青年が現れ(ジザベルが派手すぎて目に入らなかった)、ジザベルをたしなめた。