第5章 第五話
訓練所の階段に、ハリスが立っていた。
ソルトは気を失ったユリウスを背負いながら、ハリスの元へ行く。
「よぉ!おかえり!見てたぜ、ナイスファイト!」
と、ハリスは晴れ晴れとした笑顔を浮かべ言う。
「途中から、俺も見てただけだけどね」
その笑顔を見て、ホッとしたのかソルトも笑いながら答えた。
「いやいや、ソルはよくやってたぜ。あそこまでアウグストにむかっていったんだから。俺も少し剣の嗜みがあるから…凄さはわかるし」
ハリスの言葉に、ソルトは、
「確かにグリフィスも隙がなくて怖かったけど、途中からユリのが怖かった。邪魔になったら、コイツ、俺のことも刺しそうだったし」
と言って、一度ユリウスを持ち上げて持ち直した。鎧が重いのだ。
「…ほんと、コイツ一回キレると手に負えなくて…
普段はキレることなんてめったにないんだけど」
ソルトはそう言ってユリウスを見る。
「ユリは?怪我はしてないか?」
ハリスも7心配そうにユリウスを見た。
「うん。グリフィスがだいぶ手心を加えてくれたみたいで。刺し傷はない。…今は気を失ってるだけだ」
とソルト。
「とりあえず、部屋に行くか。
アウグストが兵舎のベッド貸してくれるって言ってたから、そっちに行ってみようぜ」
ハリスは階段の上を指しながら言う。
「え?兵舎?いつもの地下じゃなくて?」
ソルトが、首を傾げながら聞く。
「ああ、アウグストの兵舎さ」
うんうん、と誇らしげにハリスが言うが、ソルトは、「ふーん」と特に興味なさそうに返事するのだった。