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アブシールの英雄

第4章 第四話


「では、お手並み拝見…といくか」


ユリウス、ソルト、アウグストの三人は、北方収容所の上にある訓練所に立っていた。

ここでアウグストが二人の腕前を見たいと言ったため、二人はそれぞれ剣を持っている…もちろんアウグストも。


「本当に一緒に一度に行っていいの?俺たちそこそこ強いよ!」

ソルトは心配そうに聞いた。

「ずいぶんと自信があるようだが、小僧。

私は一人で、三人の異民族を相手にする。

…ユリウス、お前のエモノはそれか?」


しかし、アウグストは逆にユリウスの心配をしていた。

そう、ユリウスの持っている剣は、子ども用のように、少し短いタイプなのだ。

「子どものころから、ずっとこのフルーレを使っている」

ユリウスはフルーレを突き出して構えた。

「…つくづく変わった若造だな。そのような玩具のようなエモノで。

さて、私にはどこまで通用するかな」

そう言って、アウグストもまた剣を構えた。

「ユリウス!いつものヤツ行くぞ!」

ソルトもそっと剣を構え、ユリウスに向かって叫んだ。

ユリウスは、何も言わず、(『いつものヤツ』、日によるからな…)と考えていた。


「…私の忌むべき戦いに。我がアウグスト家に、心よりお詫び申し上げる」

アウグストは剣を顔の近くに持っていき、いつものようにお祈りのような言葉をつぶやいた。


最初に距離を詰めたのは、ソルトだった。

しかし、アウグストは誘いに乗らない。

その為、仕掛けたのはソルトの方だった。

左の肩を狙ってレイピアを突き出す。

アウグストはその剣先を軽く弾き、ソルトの脇腹を狙う。

すんでのところで、ソルトは左手に持っていた短剣でその刃を受け止めた。

しかし、それも剣先に弾かれ、短刀が宙に舞う。


短刀が舞った瞬間、ソルトの後ろにいたユリウスが、スラリと突きを繰り出した。

しかし、そこはさすがの老将軍。

軽く身を翻し、二人を背にして、ユリウスの刃を左足のかかとで踏んづけた。

二つの刃がほぼ同時に地面に落ちた音だけが響き渡る。

(うわ…隙がねえ…こえぇ!)

ソルトは弾かれて痺れた左手を振った。

「グリフィス…!!!俺には本気が出せないということか!!」

剣を踏んづけられ、抜くことも出来ずに憤慨するユリウス。

「うわ、やべぇユリがキレた…(これは誰にも止められない)」
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