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君がいた常夏

第8章 逸脱


『さ、これでもう安心。もう誰も私たちに手は出せないよ。』
モノクマも、未来機関も。
シャットダウンされない限りはこの状況が継続するはずだ。
『これからも全員で仲良くこの島で一生暮らそう。外は恐いよ。君たちの身体も家族も友達も社会も全部めちゃくちゃだよ。安全なこの島で、ずーっとずーっと限界まで一緒に居よう!。』
「ず、ずっとって……」
「てか、めちゃくちゃって何のことだよ!?」
一同は困惑した様子で希灯を見る。
希灯も困ったような顔をして、声を上げる面々を見つめた。
「希灯さん……さっきモノクマが一瞬出てきまちたが、まさかモノクマに……?」
『モノクマも江ノ島盾子も関係ないよ。全部私の意志。』
洗脳されたのでは、と恐る恐る訊くウサミに希灯が返す。
「じ、自分の立場を分かってるんでちゅか? 外に出たら、きっとあなたは……」
『うん……無事じゃ済まないだろうね。でもいいよ。最初から詰んでるもん。』
怯えた様子で見上げるウサミに希灯が力なく笑った。
そのまま動けない一同を眺めつつ、ゆっくりと砂を踏みしめて歩く。
『堪えられないんだ。失うのは怖いし……それを受け入れるのが、すごく嫌。』
言いながら希灯はまたステッキを握り締めた。
『お願い。このまま修学旅行を終わらせるわけにはいかないの。終わらせないために、永遠にここに居て。私は誰も失いたくないし、みんなだってそうでしょ?。』
「い、一体どうされてしまったんですか……?」
「何がお前をそこまでさせるんだ、希灯……!島を出た後もう一生会えなくなるわけでもないだろ……?」
青ざめた表情で投げられた言葉に、希灯は静かに俯く。
『……会えなくなるよ。だからこうしてるの。』
溜め息を洩らすような声で希灯が続けた。
『修学旅行が終わっても、全員がここから出られるわけじゃないんだ。もう二度と会えないどころか……その人、消えてなくなっちゃうから。』
歩いて、やがて希灯はカムクラの近くに来た。
カムクラの髪の毛を一束撫でるように手に取って、そのまま通りすぎ様にゆっくりと手離す。
『……一緒に出られないなら、私は外の世界なんてもう要らない。未来も希望も要らないよ。』
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