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君がいた常夏

第8章 逸脱


『いいよ。お別れの時間の延長ね……最長は80年くらいかな?。まだまだいっぱいあるねっ。』
希灯はわざとらしいくらいの明るい口調で愉快そうに返す。
声は震えていて、目には大粒の涙が溜まっていた。
「なんかアイツ……様子がおかしくねぇか?」
辺古山の背から覗き込むようにして、九頭龍が訝しげに呟く。
「はわわ……精神的なショックで気が動転しているのかもしれませぇん……」
「無ッ? そりゃ放っとくわけにもいかんのぉ。ふんじばった方が落ち着くかもしれん」
「よっしゃ!希灯、ぶん殴られたくなきゃ大人しく……」
弐大の横から拳を振りかぶりながら終里が飛び出す。
『こ、来ないで……っ!。』
ギュッと目を瞑りながら希灯がステッキを振った。
「……ッ!?」
「な、何だ!?身体が動かねぇ!」
「お……俺もだ。希灯、お前の仕業か?」
何人もがその場から足を動かそうともがく。
移動できない一同を見て、希灯は震えながらも浅く息を吐いた。
「希灯さん、こんなことしてはダメでちゅ! きっとすぐに外からの介入もあるはずでちゅ。大事になる前に早くステッキを先生に渡してくだちゃい……!」
『……。』
このプログラムを管理している未来機関が黙ってはいない。
このままでは進行通りに卒業がなされず、希灯はペナルティを食らうことになる。
権限を奪われ、成す術がなくなったウサミは説得を試みる。
「うぷぷ。それなら心配いらないよ」
そんな声と共に、ヤシの木の陰から突然モノクマが顔を出した。
「やっと面白みのある展開になりそうだからね。ボクの方でその辺りは解決しといたんだ」
外の世界からの妨害はない、とモノクマは自信ありげに言う。
「げぇ、モノクマ!?倒したはずなのに……!」
ウサミが驚いた様子で目を向ける。
初日以来の登場に、モノクマは恭しくみんなの前に躍り出た。
「退屈な島生活はもう終わり。希灯さんに復活させられたことだし、数ヶ月間一緒に過ごしたオマエラで仲良くコロシアイと洒落込みましょうかね……!」
『ありがとう、モノクマ。もういいよ。』
「ぎゃーッ!恩を仇で返されるとは……とほほ~」
希灯はモノクマに向けてステッキを振り、そのまま退場させた。
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