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君がいた常夏

第7章 保留


『……用事思い出しちゃった。もう帰るね。』

『おでかけの方にしとかない?。』

『今日は1人で過ごそうかな。』

『ごめんね、ちょっと体調が悪くて……。』

128日目。希灯の希望のカケラ集めは停滞していた。
様々な理由をつけて、他人との交流を消極的にしている。
『(終わらせなきゃいけない。でも、急いで終わらせることもない、はず……)。』
朝のレストラン。今日の予定を考えながら、席について食事を摂る。
「あ、あの……希灯さん、きょ、今日は私と一緒に過ごしませんか?。わ……私たちの希望のカケラ、あと2つで埋まりますし……」
希灯の席の斜向かいに座りながら、罪木が控えめにそう話しかけてきた。
『えーっと……。』
どう言い訳しようか。
希灯は困ったように眉を下げながら罪木に目を向ける。
「あっいえっ、あの……今日の休日どっちも私と過ごしていただかなくても、ぜっ全然大丈夫なのでぇ……。うゆぅ、私なんかが誘ってすいませぇん……!」
泣きそうな声を上げる罪木に、罪悪感を覚えた。
本来なら1つ返事で誘いを受けたはずだ。 でも今は、どうにも首を縦に振れない。
「希灯……そろそろ本腰を入れたらどうだ?」
微妙な雰囲気になった2人を見かねて、十神が声を掛ける。
もう何日も希望のカケラが増えていないことは把握されていた。
十神はリーダー役を買って出ているのもあって、こうして進捗の悪い生徒をせっついている。
『…………。』
行くだけ行くのもアリだ。
途中で切り上げたり、そこまで進展しなければカケラは埋まらない。
「まさかまたサボるつもりか?」
『え、いや……。』
図星を突かれ、ハッと顔を上げる。
相手は超高校級の詐欺師だ。他人の欺こうとする気配にも敏感らしい。
気が付けば、レストランのほぼ全員の視線がこちらに向いていた。
「わかっているだろうが、最終日までにたった1人でもカケラが埋まっていなければこの修学旅行は終わらないんだ。なるべく最優先でやれ」
十神の言葉に、希灯は心臓を締め付けられるような感覚に陥った。
言われずとも分かっている。自分のせいでみんなに迷惑を掛けてしまう。被験者たちにも、現実世界で待つ苗木たちにもだ。
分かっている。分かってはいる。
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