第6章 片方
「意欲?」
『あれ……。心当たりない?。』
キョトンとする日向に、希灯は少し困ったように眉を下げる。
『だってさ、大抵の才能って「自分はこうしたい」とか「やらなくちゃ」の積み重ねの結果だと思うんだよね。努力とか資質もそりゃあ大事だけど……それ以上に興味の継続も重要。』
向いていようと向いてなかろうと、強い意志がなければそこで終わる。
『あれやりたい、これやりたい、もっと上手くやれそう……って途中で投げ出さずに続けるからこそ才能って呼ばれるくらい上達するわけだし、注目されるくらい上達したからこそ希望ヶ峰学園にスカウトされたわけじゃん?。』
「……まあ」
希灯の説明に日向が曖昧に相づちを打つ。
『狛枝くんとか九頭龍くんの才能はまた違うけどさ。少なくとも……私はそうだったから。』
希灯が希望ヶ峰学園に趣味を才能として観測されたのも、ひとえに長く手芸工芸に関することを続けてきたからだった。
『だからこそ疑問なんだよね……あんなに無気力なのにどうして全ての才能に精通してるのか、道理が分からなくて。』
見出だされる機会もないのに希望ヶ峰学園に選ばれるなんて不自然だ。
超高校級の才能を持っている生徒たちは、なにも希望ヶ峰学園に選ばれるために頑張ってたきたわけじゃない。あくまで極めたその先に、希望ヶ峰学園からのスカウトが来ただけ。
今までの人生で培ってきた才能は忘れた程度で失われるものではないはずだ。
体に、あるいは思考回路にかつての才能の残滓が残されてはいないんだろうか。
『……日向くんは?。』
「え?」
『日向くんは、何にハマってた?。趣味は?。部活は?。日課は?。何かを集めたりはしてた?。憧れてた人やモノは?。』
何か思い出せるきっかけになるかもしれない、と希灯は続け様に質問をぶつけていく。
『過去の君の才能に直結するものがそこにあるかもしれないよ?。』
「い、いきなり言われても……」
希灯の問いかけに、日向が言葉を詰まらせる。
思い出せなさそうだ。