第6章 片方
『(そう言えば……イズルくんの部屋もこんな感じだったかも)。』
今見ている景色とほぼ同じだったような気がする。
同一人物なら、日向の才能も"超高校級の希望"であるはずだ。
なのにどうして判明してないような記述になっているのか。
『(まぁ、いいか……)。』
とりあえず今は日向との時間を楽しまなければ。
希灯は予定通り、日向の部屋で時間を過ごした。
他の人と過ごしたときの面白かったことを教え合ったり、ウサミの課題の難易度の愚痴を言い合ったり、島から出た後の予定に花を咲かせたり。
日向との会話は基本楽しい。でもたまに、話題によっては表情を曇らせる瞬間もある。
自身の才能と、直近の過去についての話は上手く思い出せないようで、不安げな様子だった。
『(イズルくんと同じ人のはずなのに……在学中に何があったんだろ?)。』
カムクラはありとあらゆる才能を持っているらしいのに、日向はそうではないらしいし。
疑問に思いつつ、油芋を口に運ぶ。
『あ……私の前はイズルくんと希望のカケラ埋めてたんだよね?。イズルくんとの交流はどうだった?。』
同一人物同士で会話するってどういう感じなんだろう。
純粋な好奇心と、カムクラが妙なことを日向に吹き込んでいないかの確認として質問する。
「どうって……」
希灯の言葉に日向は思い返すように顎に手を当てた。
「何ていうか、まあ……思ってたのと違うな」
『思ってたのと違う?。』
日向の返答に首を傾げる。
「あいつ……"超高校級の希望"って肩書きがもらえるような凄い才能の持ち主なのに、全然誇らしげじゃないというか……」
自分の中で言語化できていないのか、口ごもりながら日向が話す。
「ほら、なんだ……もっとこう、自分に胸を張れるようなこと一つでもあったら人生楽しくなるはずだろ? けどカムクラってずっと面白くなさそうな態度ばっかで……しかも訊いてみたら「そういうものだから」って。答えになってないよな……」
『まぁ、それは私も思うよ。意欲がないってなかなか致命的なことだし。』
カムクラは日向に余計なことは言ってないみたいだ。
ひとまず安堵しながら希灯は頷く。